Unposed Portraits
人は、カメラを向けられると表情をつくります。
笑顔を浮かべ、姿勢を正し、他人に見せたい自分になろうとする。
けれど、その準備が間に合わなかったら。
突然のフラッシュに目を細める人。ぎこちなく笑う人。何かを言いかけたまま、こちらを見つめる人。
そこには、本人が意識していない表情や、言葉では説明できない感情が現れることがあります。
このシリーズでは、古い家庭用カメラで撮影されたような、何気ない人物写真を題材にしています。
不自然な構図、強すぎるフラッシュ、暗闇に浮かぶ顔。
写真としては失敗かもしれない一瞬に、私は人間の存在そのものを強く感じます。
美しく見せるためでも、人物の性格を説明するためでもありません。
ただ、その人が確かにそこにいたという感覚。
見る人がその表情の向こうに、まだ知らない誰かの人生を想像してくれたらと思っています。